章 208

文莱国王が立ち上がると、秦朗と付優はやや呆然としていた。そんな二人の横に吉祥物の衣装を着た林珠が軽く肘でつつくと、二人はようやく我に返った。

文莱国王がマイクに向かって話し始めた。さすが一国の首脳だけあって、話し始めると自ずと王者の風格が漂う。「halosemua,sayasangatsenangdatangkechina.」

彼が発したのはマレー語で、誰も理解できなかった。そのとき、秦朗は横に立つ吉祥物姿の林珠から、小さく細い声が聞こえてきた。「皆さん、こんにちは。中国に来られて嬉しいです」

秦朗は胸をなで下ろし、マイクに向かって明瞭な発音で言った。「皆さん、こんにちは。中国に来られて...