章 855

悪魔。

これこそ、ヴィーナスカジノが焼かれ、カラヴィッチが惨殺された報せを聞いたハムが、すぐさま人を派遣して犯人を探らせた時、送り返されてきた情報の中で最も重要な二文字だった。

彼女は本当に信じられなかった。たった一人でヴィーナスカジノを焼き尽くし、カラヴィッチら十数人を惨殺するなど。

だが、信じざるを得なかった。

彼女の部下が嘘をつく勇気など持ち合わせていないことを、彼女は確信していたからだ。

この世には、おそらく本当にこのような悪魔が存在するのだろう。

彼女は後悔し始めていた。閔柔という少女を売るべきではなかったと。

しかし、どうしようもなかった。人身売買の船がマカオを出港した後は、アレー...