章 2316

「白い波の老宋」

浪里白条は老宋の外号で、浜海でも指折りの漁の名人だった。

代々漁師の家系だが、老宋は頭の回転が速く、海に出て漁をする一方で、何年も前からある山を請け負って、リンゴ園を経営していた。

もちろん、老宋が果樹園に腰を据えることはない。

海が彼にもたらす利益は、果樹園の何倍も上回るからだ。

彼が果樹園を請け負ったのは、年を取って海に出られなくなった時、リンゴの木の下で暖かい日差しを浴びながら、かつての意気揚々とした若き日々を思い返すためだった。

老宋自身が果樹園に留まることができないなら、再び他人に請け負わせるしかない。

二年前、老宋は内陸から来た若い夫婦に果樹園を...