章 2308

夜神は楊逍を探す口実で青山を密かに離れた後、漢城の蔵龍山へ行くのは簡単なはずだった。

高速鉄道に乗れば数時間で濱海に着き、この港から双眼鏡で韓国を見ることさえできる。

しかし彼女はなかなか渡る勇気が持てずにいた。

王上の不興を買うことを恐れていたからだ。

彼女と楊逍は既に李南方の妻となっているが、長年培われた習慣から、彼女はいまだに王上に対して畏怖の念を抱いていた。岳梓童がそれを見抜いて、わざと茶目っ気を装って二人を一緒に——

そして楊逍も、表向きは反対しない。

だが夜神は深く感じていた、楊逍の心の奥底に潜む不快感を。

だから二人が李南方と一緒にいるときは、ただ静かに男の傍らに横...