章 2085

明珠西郊、三毛温泉庄園。

この百畝に及ぶ広大な敷地は、明珠市の商人や政界の要人たちが最も好んで憩いや会合に利用する場所だった。

誰も庄園の背後にいるオーナーが誰なのか知らない。ただ十年前にここがオープンして以来、幾度もの取り締まりがあっても、常に揺るぎなく存続してきたことだけは皆知っていた。

ところが一週間前のこと。

庄園の大門は固く閉ざされ、営業停止と資産売却の告知が貼り出された。

なぜ順調だった庄園が突然売りに出されたのか、誰も知らなかったが、その背後にいる手広く権力を持つオーナーが何か困難に直面したことは容易に想像できた。

誰もが面倒事に関わりたくはない。

だから、毎日計り知れない収益が...