章 1853

八百。百十人ほどが暮らす辺鄙な山村。

村の入り口から出口まで、数十軒の家がぽつぽつと並ぶだけ。

李南方が岳梓童の手を取り村に足を踏み入れると、家々の灯油ランプが一斉に灯った。

その明かりが冬の夜の寒さを追い払う。

元気を取り戻した岳梓童は、先ほど村長の前で見せた天下の母のような威厳は忘れ、ただ純粋に八百の村人たちが彼女を迎える温かさに心を打たれていた。

それは村の全員が彼女の到来を知り、受け入れたことを意味していた。

かつて李南方を受け入れたように。

村の入り口から家までは、わずか百メートルほどの距離。

家の門の前に辿り着くと、師匠の妻が慈愛に満ちた笑顔で出迎えた。

彼女の南方が一年以上も出か...