章 1350

本来なら、岳梓童は贺兰扶苏のことを一生「扶苏お兄ちゃん」と呼び続けられたはずだった。

だが、母親の臨終の頼みと、姉が彼のために心血を注ぎ尽くしたという二重の重圧の下、彼は岳梓童の「扶苏お兄ちゃん」でいることをやめる選択をした。

人は道を選ぶとき、誰しも慎重に考えるものだ。

一度選んだ道を行くと決めたなら、もう一方の道の景色も同時に楽しめるなどと望むべきではない。

この道理はとても単純なことだ。

贺兰扶苏も、岳梓童も、そして岳清科もよく分かっていた。

今、彼はまさにこの道の両側の景色を眺めていた。

この道は、岳梓童が帰国する際の必然的な通り道だった。

すでに金三角に潜入させていた部下から、三十分...