章 1278

やはりそれは、恋に落ちた女性の知能指数は著しく低下するということだ。

特にアリスのような、二十年以上も愛を知らず、今やっと一人の男性を愛するようになった女性の場合、あまりにも長く抑圧されてきた愛情が全面的に爆発し、彼女を我を忘れるほど燃え上がらせている。

利に目がくらんだと言った方が適切かもしれない。

彼女は岳梓童がどんな出自の人間かをすっかり忘れてしまい、自分が長身で二年間テコンドーを習ったことがあるというだけで十分だと思い込んでいた。さらに鋭い短剣を一本持っていれば、か弱い岳家の当主を殺し、その責任をワニの赤ちゃんに押し付けるのは容易いことだと考えていたのだ。

冷たい光が走った瞬間...