章 887

林浩がバックミラーを通して見たのは、後ろから三台の乗用車が猛スピードで迫ってくる光景だった。車と車の間にはほとんど隙間がなく、今さら後退しようにも間に合わない状況だ。

前に進むしかないと思った瞬間、高架橋の方から二台の大型トラックが逆走して林浩の方へ突進してくるのが見えた。

これは完全な殺し局だ。

自分を狙ったものなのか、それとも上官天虹を狙ったものなのか。だがどちらを狙ったものであれ、今は林浩も上官天虹も同じ窮地に立たされている。

「おじいさん、起きてください。今、トラブルに巻き込まれています」林浩はスピードを落としながら、車の後部座席にいる上官天虹に声をかけた。

上官天虹は少し朦...