章 2586

「ジェニファー、どう見ても彼は悪い人間じゃない。ただ、君とモリア姉さんのことを愛していなかっただけさ。シンプソン夫人への彼の熱狂ぶりは、本当の愛に出会ったからじゃないかと思うんだ」安二虎は慰めるように言った。ジェニファーもモリアも、男に冷たく捨てられたという事実で、プライドが深く傷ついているのは分かっていた。美女として、そんな仕打ちは耐え難いものだろう。

「もう彼のことには興味ないわ。二虎、ということはモリア姉さんも、あなたのものになったってこと?カルロスは私たち二人ともあなたに投げ渡したの?損した気分じゃない?」ジェニファーは冷ややかに笑った。

「そんなわけないだろう?俺は宝物を手に入れ...