章 2437

「だから、普通の鍵なら安二虎でも簡単に開けられるけど、大統領執務室の鍵が並のものじゃないことは分かっていた。だから、開けられるとは思ってなかったんだ」

それでも、試してみるしかない。そこで彼は二階のトイレでまた針金を見つけ出した。便器の中から一本の針金を取り出すと、大統領執務室の前まで行って鍵を開けようと試みた。

安二虎は非常に粘り強い男だ。目的を達成するまでは決して諦めない。約二時間もの格闘の末、本当にドアを開けることができた。安二虎は興奮のあまり気絶しそうになりながら、素早く執務室内に滑り込んだ。さすが大統領執務室、中は広々としていて、大きな役員椅子が置かれている。安二虎はすぐにその椅...