章 1106

階段を上がると、エレベーターに乗るなり香媚は彼の胸に飛び込んできた。彼をきつく抱きしめて、まるで逃げられるのを恐れるかのように。

部屋の前に着くと、安二虎はカードキーで扉を開け、電気をつけた。ベッドには楊梅が気持ちよさそうに眠っていた。安二虎がドアを閉める音で、楊梅は目を覚まし、美しい瞳を開けた。最初は嬉しそうな表情だったが、香媚の姿を見て驚きの色に変わった。

彼女は香媚の存在をずっと知っていたが、二人は面識がなく、楊梅は彼女を見たことがなかった。

しかし、香媚の方は楊梅のことを知っていた。

「楊梅お姉さん、私は香媚です。ごめんなさい、お邪魔します」香媚が先に挨拶し、満面の笑みを浮かべた...