章 54

二人の老人は娘が家を離れるのを惜しんでいたが、いずれは嫁いで家を出る日が来るのだから仕方ない。

多くを語ることもなく、娘の言葉を心に留めた。

この時、小酒と方青は彼女の両親に別れを告げ、出発しようとしていた。

突然、一台の車が小酒の家の門前に停まった。

車から降りてきた男は、親指ほどの太さの金のネックレスを首にかけ、ビール腹を突き出していた。

その肉付きのいい指には、三つか五つほどの金の指輪がはめられていた。

見るからに成金といった風体だ。

男は小酒が戻ってきたのを見ると、目を輝かせた。

一方の小酒は、その男を見るなり顔をそむけ、しなやかな体を方青に寄りかからせた。

身体が少...