章 340

「それは殺気だった。これまで方青が出手した時、安陵はこんな殺気を見たことがなかった。

以前、刀影を助けた時でさえ、こんな殺気は放っていなかった。

安陵は安家の令嬢であり、安掌門の大切な妹で、年齢はまだ十八、九歳ほど。

幼い頃から良い人間になるべきだと思い、兄が最も強いと信じてきた。

当然、自分の兄があんな風に頭を下げる姿を見た時、心の中でどうしても受け入れられなかった。

しかし、たった今、方青から放たれた殺気の炎を感じた瞬間、安陵は完全に固まってしまった。

全身が痺れるように硬直し、頭皮までぞわぞわと粟立つ感覚。

背中には驚きで冷や汗が噴き出していた。

これ、これは一体どういうこと?

たった一...