章 607

これで李有金はいささか戸惑ってしまった。この夫婦の気性がどうにも掴めない。

李有金が驚きで呆然としている間に、孫言のやや痩せた体がベッドルームへと向かっていった。

李有金は玄関に立ったまま、振り返って孫言を見ると、彼が自分の妖艶な妻の傍に歩み寄り、両手で目の前の女性に触れ回っているのが見えた。実際には妻の感情を落ち着かせようとしているのだ。

数秒後、孫言は名残惜しそうに手を離し、妻に向かって笑顔を見せた。

「前に約束したじゃないか。どんな命令でも従うって。今夜は俺たち、考える能力なんて持たない。唯一必要なのは国王の命令に従うことだけさ。言ったことはやらなきゃ。そうじゃなきゃ、実行しにく...