章 338

「前回、あなたを王強と間違えて、風呂場に突入した時、お兄さん、随分我慢してたんだね」

李雅はそう言いながら、こっそりと隣にいる李有金の様子を窺った。

その盗み見る仕草を李有金に見られてしまい、その色気を漂わせる媚びた瞳には色気が満ちていた。李有金は自分の目を疑った。

李有金は学がなく教養が高いわけではないが、決して馬鹿ではない。男女二人きりで部屋にいて、こんな話題を持ち出すとは。李有金の心はざわついていた。

彼にとっては、弟の嫁を抱いても構わない。お互いが望み、二人だけの秘密にさえしておけば、それは世界で最も安全なことだ。女は男よりも評判を気にする。ましてや李有金から見れば、自分はただの...