章 741

私が近づいて覗き込むと、そこには隠し扉があり、中は別世界のようだった。入口に立っただけで、玉蘭の香りが漂ってきて、まるで奥深い庭園へと続く小径を辿るような感覚に包まれた。

中に入ってみると、実はスイートルームのような作りになっていた。まず左側にトイレがあり、正面にはもう一つの引き戸があった。それを開けると、なんと小さな休憩室があり、一人掛けのソファベッドが置かれていた。

ベッドの横には小さな丸テーブル、その傍らには小ぶりな背もたれ付きの椅子が配されていた。壁には食品棚があり、各種のお酒や飲み物が並べられ、棚の隣には冷蔵庫もあった。中には食べ物が保管されているのだろう。

冷蔵庫の隣にはクロ...