章 409

お客さんは次々と帰っていき、前後で四十分ほどかかった。銭菲菲は私の肩に寄りかかったまま、本当に眠ってしまった。私はずっと同じ姿勢を保ち、彼女を起こさないように気をつけていた。

最初は単に頭を私の肩に預けていただけだったが、やがて私の方を向き、まるで私の胸に潜り込もうとするように、片手も自然に私の足の上に置かれた。それで余計に動けなくなってしまった。

彼女は普段から香水をつけないタイプらしく、何度か道で会っても香水の匂いを嗅いだことはなかった。

だが今日は違った。写真館で香水をつけられたのか、彼女から漂う香りは車内にもともとあった香水の香りさえも凌ぎ、私の心を魅了した。

つい彼女の眠る顔...