章 361

陸老はダッシュで数歩駆け、すぐにバイクに追いついた。バイクはゆっくり走っていた。前方は人で溢れていたからだ。陸老は躊躇なく近づくと、一蹴りで男をバイクから蹴り落とした。

「言え、誰に雇われた!」陸老は問いただした。

男は腰を曲げたまま黙っている。陸老が手を伸ばして引き寄せようとした瞬間、男は突然振り向き、大量の石灰の粉を陸老の顔面に浴びせた。陸老は一瞬にして視界が奪われた。男たちはすぐさまバイクに飛び乗り、逃走した。

陸老は今、路肩に座り込んだまま動けずにいた。目が見えない状態で動き回れば危険だからだ。この状況で彼が唯一心配していたのは劉雪のことだった。

しばらくすると、救急車のサイレ...