章 1181

たとえ前に何もないとわかっていても、普通の人のように足を踏み出すことはできないものだ。

だからこそ、盲人は白杖で道を探りながら、一歩を踏み出さなければならない。

後になって、私は家の中では白杖を使わなくなったが、外出する時は必ず白杖が必要だった。白杖は盲人の「目」となるのだ。

「梅子、やってみなよ」義姉が言った。「金水の気持ちを少し体験してみて。彼は本当に大変な思いをしているのよ」

梅子はこくりと頷いた。

「彼女に白杖を渡してあげて」私は言った。「白杖がなければ、一歩も踏み出せないよ。白杖を持てば、もっと本物の盲人らしくなる」

「みんな壁際に立つか、部屋の中に入って。新婦の邪魔をしないように」...