章 1172

劉名楊が価格を叫んだ後、ほくろのある男は彼を一瞥し、頭を下げて電話をかけた。それからもう二度と札を上げることはなく、立ち上がってそのまま外へ向かって歩き出した。

劉名楊は少し考えてから、自分も立ち上がり、ほくろの男の後を追った。

ほくろの男はさっとエレベーターに入り込み、劉名楊が追いついた時には、すでにドアがゆっくりと閉まりつつあった。

劉名楊はすぐに隣のエレベーターに乗り、一階へ急いだ。

しかし、ほくろの男の姿はどこにも見当たらなかった。

劉名楊はしばらく待ったが、ようやく理解した。ほくろの男はすでに別の出口から立ち去っていたのだ。

劉名楊の眉がきつく寄せられた。

この男は明ら...