142話

ピュラは深呼吸をし、記憶を頼りに物語を語り始めた。「むかしむかし、憎しみと恐怖で分断された国に、イグニスという名の炎のレイスとサングイスという名の血のレイスが住んでいました。彼らは偶然ある夜に出会い、互いの孤独と憧れによって引き寄せられたのです。」

「二人はそれぞれの部族の中で疎外された存在でした。違うということで誤解され、避けられていたのです。イグニスは炎の性質にもかかわらず優しい心を持ち、サングイスは血に飢えた評判とは裏腹に親切で思いやりがありました。」

「彼らはすぐに恋に落ち、その絆は深く強いものでした。しかし彼らの愛は禁じられていたため、秘密裏に会い、できる限りの時間を共に過ごすし...