63話

アレックスの視点

何時間も走り続けてきた気がする、フレイヤたちのもとへ戻るために。熊を倒して食べた後、アドレナリンが体中を駆け巡っている。あの食事は第一の選択肢ではなかったが、今は好き嫌いを言っている場合ではない。コックの作るエビのエトゥフェとナマズのフライがあればどんなによかったか、でもそれは後回しだ。熊の肉は腹を満たし、帰路に必要な力をくれた。いくつかの場所を通り過ぎる中で、消し止められた火事や放置された燃え跡がたくさんあるのに気づいた。これは俺の暴走の影響だろうと感じる。トビアスの件を片付けた後で調べることにしよう。

さらに2時間経ち、水分補給のために立ち止まる。ライカンとしては水な...