第82話

マドックス

私はデスクの後ろに座り、椅子を静かに前後に揺らしている。ほんの数センチずつだが、それだけで今直面している問題に意識を集中させるには十分だ。

決断を下さなければならない。簡単なものではないが。

セスが向かいの椅子から咳払いをする。それは彼なりの「数分前に尋ねた質問にいつ答えてくれるのか」という合図だ。

答えを持ち合わせていない質問だ。彼をオフィスに呼んでこの件について話し合う前から考えていた問題だ。もちろん、彼にも答えを期待していないが、基本的にセスは私が答えを求めるときに頼りにする相手だ。彼は冷静で、賢く、洞察力があり、簡単に気が散ることがない。

今の私も、珍しく気が散ってい...