第65話

マドックス

アイラの香りが私の呼吸一つひとつに満ちている。目覚めかけた意識で、周囲の状況を把握しようとしている。今朝早く、まだ完全に目が覚める前に彼女と話したぼんやりとした記憶がある。

彼女は衝撃的な情報を教えてくれた。今日調べなければならないことだったが、今はそれが何だったのか正確には思い出せない…。

後で思い出すだろう。

今は、私の手が彼女の柔らかく温かい胸に置かれている。彼女の魅惑的な香りに包まれているせいで、目覚めたときからの硬さがさらに大きくなるのを止められない。

彼女が怪我をしていることを思い出し、そっとしておくべきだとわかっている。昨日彼女はかなり強く打ったし、肩も...