第61話

イスラ

私は一人じゃない…。

それは森を走り続けながらも分かっていた。でも、私の足取りは大幅に遅くなっていた。周りの闇の中、そして前方にも狼たちがいることが明らかだったからだ。

なぜ私は、すでに私の命を救うためにできることをすべてしてくれた男から逃げ出し、潜在的な死の罠へと向かっているのだろう?

私は世界一愚かな女だと思わずにはいられない…。

大幅にペースを落とし、遠くを見つめ、動きを探る。前方に光る目が一対見えるような気がする。それを知って、私は進路を変え、右に向かう。この狼たちから逃れるために城へ戻る道を探れるかもしれない。彼らはマドックス王かセス・ベータが私を追って送った城の衛兵か...