第585話

ミスティ

コールは私に休むべきだと言わない。そのことに私は永遠に感謝している。私はキャビンの中を行ったり来たりしながら、彼が医療キットを整理し、在庫を確認する様子を見つめている。彼が医師だと知った日のことを思い出す。それは衝撃的だった。私の腕は狂った呪われた狼によって骨まで裂かれ、この男—悪だと思っていたこの見知らぬ人—が私を縫い合わせてくれたのだ。

それはまるで一生前のことのように感じる。正直、そうだったのかもしれない。時々、リチャードの要塞での数週間が実際に起こったのか、それとも熱に浮かされた夢だったのかと考えることがある。しかし、ランタンの光が研がれたメスの刃に反射する様子が、彼がそ...