第50話

私は水中にいる。

どうやってここに来たのかわからないけれど、とにかくここにいる。

でも、変だ。水の中でも普通に呼吸ができる。まるで姿が変わったかのようだけど、本来なるはずの狼ではない。いや、魚のような水生生物に変身したみたいだ。

この急流の水中を進みながらも、自分の姿は見えない。ただ周りのものだけが見える—足元の岩と泥の深みから伸びる緑の藻、あちこちに散らばった大きな岩の山、時折目の前を素早く泳ぎ去る魚たち。

水—たくさんの濁った緑がかった茶色の水。

「ここはどこだろう?」と私は問うけれど、声に出してではない。口を開けば、この汚れた水が口の中に入って苦しくなるだろう。いや、これは内なる問いかけ...