第427話

コテージの中は強いペンキの匂いがする。それでも私はサラが最初の二部屋を移動するのを見守りながら、彼女の邪魔にならないよう、玄関のすぐ横の狭い廊下に立っている。片側には小さなキッチン、反対側にはリビングルームがある。サラは軽やかに部屋から部屋へと移動し、ドアを開けては閉めている。

彼女の表情は読み取れず、無表情だが、その目は驚くほど淡い薄紫色で、それだけが彼女が喜んでいるというヒントだ。

私は彼女をじっと見つめ、廊下の一番奥にある浴室の色あせた壁紙の上を指先でなぞる様子に目を奪われずにはいられない。まるで触れるたびに色と質感の一つひとつを確かめているかのようだ。

私は越権行為をしたかもしれ...