第421話

植物園は市内から車で30分、城からはさらに遠い場所にある。銀色の木々の海に囲まれ、ガラスドームの建物は純白の雪のリボンに映える鮮やかな色彩の点景として際立っている。

トラックを停め、腕時計を確認する。

建物の正面ドアが開き、淡い紫のセーターとグレーのレギンスで身を包んだ人物が、凍てつくような氷点下の気温に負けじと外に出てくる。

母の赤ワインのような髪は頭の上でお団子に結われている。彼女は手を振り、早く来るよう合図する。

「8時に来るって言ったでしょ!」と雪に覆われた階段を上る私に向かって彼女は挨拶代わりに言う。

「8時15分だよ」と私は答え、彼女は私を中に招き入れ、重いガラスのドアを...