第41話

イスラ

「どこに連れて行くの?」

私は今、私の手を握っている人に尋ねるけれど、返事はない。母ではない。それだけは分かる。この握り方はきつくて痛い。ママが私の手をこんなにきつく握ることは決してないから。

返事代わりに、波の下から聞こえてくるような声が言う。「私と一緒にいなさい、イスラ」

「でも、どうして?」と私は尋ねる。下を見ると、私の足はもう地面についていない。桟橋の木の部分を踏んで、ボートに乗り込もうとした時、私の足は二度と地面に触れることはなく、今、私は空へと浮かび上がっている。

私を地面につなぎとめているのは、顔の見えないこの人だけ。その握りはとても強くて、振りほどくことができない...