第378話

ケナ

何時間もベッドで横になって窓の外を見つめていた。一睡もしていない。

膝を腹に引き寄せ、ライアンのゲストルームのフランネルのシーツにもっと深く身を埋める。朝の6時だ。昨夜、彼の家に戻ったのは午前1時を過ぎてからだった。

それからずっとこの体勢のままだ。

指先で自分の唇をなぞり、あのキスの記憶に目を閉じる——私の初めてのキス。人生で初めてのキス。

だからこそ、あの出来事が魔法のように感じられたのかもしれない。覆面の見知らぬ人に壁に押しつけられ、貪られるなんて、今まで経験した中で最も甘美なことだった。

つまり、それだけのことなんだろう。衝撃的で、甘美で、切実に望んでいたこと。

伴侶の絆ではな...