第319話

イスラ

美しく澄み渡った夜だ。波が静かにマータア島の南約40マイルに位置するティール諸島の小さな島々にある、この私有島の岩場の海岸を打ち付けている。満月が明るく輝き、ほとんど動きのない海面に長い銀色の光の道を描いている。

こんな夜なら、普段ならマドックスと私は姿を変えて、マータア島を囲む熱帯の森を長く走り回っていただろう。

でも今は、マータア島のアルファとルナが所有する巨大な別荘の、木のパネルで覆われた居心地の良い寝室の窓際に立って、どうしてこんなことになったのか考えている。

振り向くと、部屋の中央にあるベッドでリヤットが横向きに寝ている姿が見える。目を固く閉じて眠っている。

彼...