第316話

マディ

アイザックの叔父ベンは図書館のテーブルの周りを大きく回り込み、その表面には古くてほこりっぽい本が山積みになっていた。私は下唇を歯で噛みながら、ベンから私のつがいへと視線を移す。彼もまた、手に持つ本に夢中になっている様子で、ベンが現在鼻先まで埋めている本と同じくらい熱心だった。

私はベンにあまり会わない。彼はアイラの弟で、彼のつがいエメリーは「黒曜石の神殿」と呼ばれるパックのアルファだ。彼らのパックの領土はムーンの古代領土と隣接しており、共に山々と私たちをイーストニアから隔てる魔法のベールと接している。

彼が今ここにいて、信じられないほど不可能な問題の解決策を見つけるために図書...