第217話

アイザック

豪華で金色に輝く舞踏会場に音楽が響き渡る。広間全体が明るいドレスと上質なスーツに身を包んだ男性たちの海となり、カップルたちが円を描くように踊り、シャンパングラスが頭上の巨大なクリスタルシャンデリアの光を受けて輝いている。

「国境からの知らせはないのか?」と父が私の右側のどこかで、音楽や部屋中から聞こえる様々な会話の喧騒に負けないよう低い声で尋ねる。父のベータであるイライジャが首を振る。

「何もありません。動きはなし。アルファ王カネは召喚を一切無視しています」

父の顎の筋肉がピクリと動き、体重を移動させながら腕を胸の前で組む。「イーストニアがさらに動きを見せた場合、アルフ...