第206話

イスラ

私はマドックスがデッキを行ったり来たりする間、下唇を歯で噛んでいる。この状況の何一つ良いことはない。何一つ明らかでもない。そして私たちの誰もがこの二日間、マートゥアの誰とも連絡が取れていないのだ。

マートゥアでの不穏な噂は数ヶ月前から私たちの耳に入っていた。しかし、その不穏の正体が魔法使いだったとは、マドックスも私も四日前までは知らなかった。アントニーから必死の電話があり、私たちは急いで荷造りをして一時間もしないうちに家を出た。

その前日、私たちはアイザックの一歳の誕生日を祝ったばかりだった。

私は手すりに寄りかかって頭を垂れ、マートゥアの海岸に近づくことを妨げている荒れ狂...