第168話

イスラ

私たちの部屋は…質素だけど、それほど気にならない。石壁には額入りの油絵が掛けられ、空気中には洗浄剤の鋭く刺激的な匂いが漂っている。暖炉が奥の壁を占め、シンプルな灰色の絨毯が床を覆う石畳の上に敷かれている。

またもや、この場所がどれほど古いのか、そしてマドックスが購入する前に誰が住んでいたのか気になる。

私は息を吐き出す。まだ旅の疲れが残り、何時間も車に閉じ込められていたような気がして体が痛む。マートゥアからの息苦しい船で数日を過ごした後では、この部屋がカビ臭くなく明るいのは、女神様自らがもたらした奇跡だ。

でも、やっぱり家にいたいな。

「悪くないわね」ポピーは部屋を見回し...