第118話

マドックス

トリニティの手首を掴み、彼女にナイフを離させる。彼女の手から落ちたナイフを私は反対の手で受け止め、彼女に向け返す準備をする。

「わっ!待って!」彼女は言う。「あなたを刺そうとしたわけじゃないわ、陛下!」彼女は私に告げる。「本当にごめんなさい。驚かせるつもりはなかったの。ただ刃を見せようとしただけよ」

彼女の目は大きく見開かれ、本当に怯えているように見える。おそらく彼女は真実を語っているのかもしれない。

しかし、それを確信することはできない。暗い庭で私にナイフを向ける人が、それで刺すつもりがないなんてことがあるだろうか?

だが、私の手の下で彼女の体全体が震えているのを感...