第105話

マドックス

地下牢での囚人尋問にはうんざりしてきたが、オースティンと話すのを他の誰にも任せられないので選択肢はない。彼は私から逃げた時に負った怪我からまだ出血している。身につけているのはボロボロの短パン一枚だけで、彼は汚い地下牢の床に座り、両腕は背後の壁に鎖でつながれ、腕を下げることすらできない状態だ。

私は彼をしばらく見つめる。彼は息を荒くしているが、その理由はよくわからない。新しい怪我は見当たらないので、私の護衛に殴られたとは思えないが、もし彼らが手を出したとしても、それなりの理由があるはずだ。では…なぜ彼はそんなに息を切らしているのだろう?

「オースティン」私は切り出した。「なぜ処...