第100話

マドックス

「どういう意味だ、ザブリナがいなくなったって?」

口から出た言葉は、まるで真実であるはずがないような響きだった。今のこの状況についてセスが説明していることが正確であるはずがないと思えた。

ザブリナがいなくなるなんてあり得ない。俺が自分の手で殺したんだ!俺が飛びかかり、歯で彼女をつかんで、その腹部を引き裂いたときの内臓の味がまだ口に残っている。彼女を助けようとしていた黒い狼が失敗するようにな。

「どこを探しても見つかりません」セスは肩をすくめて首を振った。「何が起きたのか、まったく見当もつきません」

「だが彼女は死んだはずだ」と俺は言う。「俺自身が始末した。彼女が死んでいる...