第158話

レキシ

首に軽く引っ張られる感覚がして、紐が首の両側に落ちる。ヴァルが唇を離す。息継ぎは必要だったけど、まだキスを終わらせたくなかった。「あなたが必要よ、ヴァル」と私は彼の目を見上げながら囁いた。その目には欲望と愛情が宿っていた。ヴァル自身は私を愛していることに気づいていないかもしれないけれど、彼の目は嘘をつけない。「すべてを捧げよう、我が女王」と彼は言う。彼の声がいくぶん掠れているのに気づく。ヴァルは一歩下がる。遠くではない。数センチほどだけど、それでも私には遠すぎる。彼に近くにいてほしい。彼は私の腰のローブのベルトを掴む。素早く器用な指先で数秒のうちにほどいてしまう。ベルトが緩むとドレス...