第52話

アドルフはローレルにキスすることで自分がどうなるか知らなかった。熱が彼の体を駆け巡り、彼女に刻印を付けたいという欲求がほとんど抑えきれないほどだったが、彼は自制心を保ち、彼女の香りに溺れる前に身を引いた。

「俺は…ドアが開いたままで君に刻印をつけたくない」

ローレルは息を飲み、目を見開いて彼から離れた。彼女の顔は真っ赤になっていた。彼は自分の言葉にほとんど顔をしかめそうになった。それは言うべき最良の言葉ではなかったかもしれないが、本心だった。

「じゃあ…ドアを閉めるべきね」

アドルフの心臓は跳ね上がった。彼の視線を合わせられないローレルを見下ろして。

「何だって?」

彼女はふんと息...