第386話

ザンダーは半歩前に踏み出し、アリアナに声をかけようと唇を開いたが、ハーモニーが彼の肩をぎゅっと掴み、彼の動きを止めた。

身を寄せて、彼だけに聞こえる程度の声で、ハーモニーは優しく諭すように囁いた。「ダメよ、ザンダー。今は追わないで。彼女が落ち着く時間を与えて」

彼は顎を引き締め、アリアナとハーモニーの間で視線を揺らしながら、葛藤と苛立ちが顔に浮かんだ。彼の心臓は激しく鼓動し、アリアナを追いかけ、彼女を捕まえ、肩に担いで家に連れ帰り、話を聞くまでドアを閉ざしたいという衝動に駆られていた。

そして腕に感じた優しい握りに、彼は手を伸ばしてハーモニーの手首を掴み、苛立ちが全身に広がった。彼女を振...