第62話

ロマニー

アレックスの舌が私の口の中に無理やり入ってきて、一瞬だけ私は彼の抱擁に身を任せた。私が近くにいるといつも彼が自制を失うその様子に、何か惹かれるものがあった。それが私を愚かな行動へと駆り立てる何かだった。彼の腕が私を包み込み、ビキニの下着の中に手を滑り込ませ、私の割れ目の輪郭を指でなぞった。

「お前が欲しい」彼は唸るように言った。「いつだって。お前を下にして、上にして。お前だけだ。お前しかいない」

彼の声だったのか、それとも彼の告白だったのか、何であれ、私は立ち止まった。前回一緒にいたときのことが頭をよぎった。彼が言った言葉、今の私が彼を憎む原因となった言葉が耳の中で鐘のよ...