第60話

ローマン・バンクロフトは、大量の武器を装備した二人のボディーガードに導かれて、曲がりくねった廊下を進んでいった。皮肉なことに、彼自身は武器の携帯を許されていなかった。

彼は今、ヨーロッパのアルファ・キングであり、文字通り自然の猛威とも言えるアルファ・キング・アントン・コスティンに会うために向かっていた。

アントンとの謁見を得ることは容易な任務ではなかった。それは彼自身もアルファ・キングであることを考えると、かなりのことだった。

ボディーガードたちはついに、金属の取っ手が付いた巨大なマホガニーのドアの前で立ち止まり、三度ノックしてからドアを開け、彼を中へ案内した。

ローマンは自信に満ちた...