第90話

〜 デイモン 〜

          • 一週間後 - - - - -

デイモンはベッドに横たわり、天井を見つめていた。彼の表情は無感情で、目は虚ろだった。朝の八時だというのに部屋は暗かった。デイモンはカーテンを開ける気にもならなかった。すべてが漆黒で空虚だった、彼の心と同じように。部屋を満たす音といえば、彼の低い呼吸音だけ。そして、かすかに、とてもかすかに、心臓の鼓動が聞こえるような気がした。これだけの経験を経てもまだ動いているその心臓に、彼はほとんど驚きを感じていた。

かつては全てを手に入れていた…世界を足下に従え、彼女が隣にいた。

デイモンの思考は結婚式前の日々と、あ...