第88話

〜ヴァイオレット〜

「ヴァイオレット?」デイモンは彼女がそこにいるとは思っていなかったので、口をぽかんと開けた。

「デイモン…」彼女は答えた。イザベラが立っていた方向に振り向いたが、彼女はもういなかった。消えていた。部屋の中にはヴァイオレットとデイモンしかいなかった。

「ここで何をしているんだ?」彼は尋ねた。

「ただ…お祈りに来ただけ…」ヴァイオレットは混乱して辺りを見回した。それから彼女は目を細めて彼に尋ねた。「あなたはここで何をしているの?」

「ああ、同じだよ」彼は肩をすくめた。「お祈りに来たんだ」

デイモンが…お祈り?

ヴァイオレットは疑わしげに見つめながら、デイモンが祭壇...