狼と妖精

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第322話

彼が1年前にその申し出をしていたら幸せだったはずなのに。当時なら舞い上がっていただろうし、なんなら1週間前でさえ受け入れていたはず。でも、彼の言い方には何か引っかかるものがあった。

「あー」私は石像のように固まらないよう、何か言わなければと自分に言い聞かせた。「影の領域ね?」

彼は頷き、笑顔を作った。

「行きたいわ、でも…それは…」私は深呼吸をした。

「え?気に入らないの?」彼は困惑した表情を浮かべた。

「違う!」彼が勝手な結論に飛びつく前に急いで言った。「誤解しないで、気に入ってるわ。素晴らしいアイデアだし、いつも私のことを考えてくれることに感謝してる」私は始めたものの、愚痴っぽく...