第183話

「ルチア!!!」ヘリオスは霧が濃くなる中、全力で叫んだ。彼の声は霧の中に閉じ込められてしまったかのようだった。

「ルチア!!」彼は再び叫んだ。

「ねえ、ヘリオス…」ある声が彼の首筋の毛を逆立たせた。「あなた、さっき私を傷つけたわね。私の城の中で、あのあまのじゃくにキスしようとしたなんて」

彼女は眉を揺らしながら言った。

「俺のメイトにキスする場所や時間に決まりはないと思うがな」彼は無表情になって言った。

「あなた、私にはそんな態度じゃなかったわ」彼女の声には嫉妬の色が混じっていた。

「お前は俺のメイトじゃない」彼ははっきりと言い切った。

「フェイにメイトなんていないと私たちは信じていたのよ!」...