第159話

何もない。

何も全くない。

彼が探せば探すほど、行き止まりばかりが見えた。「陛下、予定通り舞踏会の準備を進めるべきでしょうか?他の領域から忠誠を誓うために来られる方々が…」

「お前の名は何だ?」ヘリオスは怒りを抑えようと努めながら、彼に一瞥をくれるだけで言葉を遮った。

「フェリックスでございます、陛下。サー・フェリックス・オブ・ザ…」

「お前の称号など興味ない」彼は遂に相手を見据えながら言い放った。彼の目はもはや力を使っていた時の白色ではなかった。血のように赤く変わっていた。これほど長時間にわたって力を使ったことがなかったため、非常に珍しい現象だった。

皆が一、二歩後ずさりした。その怒...